頼朝公の墓所近く、岐れ道で今年23年目を迎えたうつわの店「遊」は、地元大藏頼朝商店街や、鎌倉の多くの方々に支えていただきながら今日まで参りました。
常設のものや、その都度作家さんとの交流を通じて、私の感性にしっくりきた作品を仕入れ販売してきました。
それだけでしたら、大手商業エリアでの陶磁器販売店と変わらないのですが、
開店当初より私が強く思ってきたことがあります。
せっかく手間をかけて作ったお料理を、ただ乗せるだけの道具としてうつわを扱うのでも、扱っていただくのではなく、お料理の作り手がその器に、より強い愛着と作家への信頼、想像性を搔き立てられるお互いをつなぐ担い手としての役割りを果たしていきたい・・・という思いでした。
うつわはお料理を更に美味しく見せ、美味しく食べさせてくれる。
大人の目にも子どもの目にもそれは明らかなのです。
華やいで会話がはずむ食卓は家族であれ、単身であれ、気持ちの豊かさを、もっと言ってしまえば幸福な嘱託を約束してくれます。
目の前のうつわはすでに完成しています。
しかし、一日でできるものではありません。
作業工程には
土を練る→成形→乾燥→高台を削る→乾燥から素焼き。
磁器の絵付けの場合は
絵付→釉薬→本焼き
作家はこの工程の間ずっと土と会話をし、土の様子を見て、気候・風土に合わせた時間調整などを行います。
じっくり手間をかけて産声をあげたばかりの赤ちゃんを扱うようです。
作家さん一人ひとりの個性を皆様にお届けしたい。
小さな湯呑み一つにも飯椀一つにも、作家の優しい思いと愛を知ってください。
それを感じていただければ鎌倉での旅の思い出はより豊かになることを信じています。
どうかご自身で納得できるうつわ探しに鎌倉の「遊」のお越し下さいましたら幸いでございます。
“心合わせてうつわ選びを!”
輪島塗お椀
輪島塗とは。
輪島は、日本海に面した能登半島北岸の港町である。
輪島塗は、その石川県輪島市で生産される漆器。
原料となる漆の木と、ケヤキ、アテ (この地方でのアスナロの俗称) などの木地 (きじ) に使われる木が豊富にあるこの土地で、輪島塗は発展していった。
輪島塗は、例えばお椀づくりでは出来上がりまでに大きく3つの工程に分かれる。
「木地づくり」「漆塗り」「加飾」の3つで、そのうち「漆塗り」の工程には、下地作りだけでも23もの工程がある。
それぞれの工程で担当する職人・工房が分かれており、分業制によって仕上げられ、完成までに1年以上の年月を要することもある。
備前焼茶碗
備前焼とは
備前焼は、「釉薬(うわくすり)(※)」を一切使用せず、絵付けもしないという究極にシンプルな焼き物。
1200〜1300度の高温で焼き、土の性質や、窯への詰め方、窯の温度の変化、焼成時の灰や炭などによって模様が生み出されます。一つとして同じ色、同じ模様にはならない、手作りの味わい深さが魅力で、使えば使うほどに味わいが増していくのも特徴です。
※素焼きの陶磁器の表面に塗る薬品
瀬戸焼カップ
瀬戸焼とは
瀬戸焼は、愛知県瀬戸市を中心に作られる焼き物の総称。瀬戸の地名は、焼き物の産地を表す「陶所(すえどころ)」が転じたと言う説もある。世界有数といわれる白く焼き上がる良質で豊富な陶土が、釉薬や絵付けが美しい焼き物を生み出している。
日本の中でも珍しい、陶器も磁器も焼かれる産地である。
陶器では国の伝統的工芸品「赤津焼」に代表される釉薬を駆使した装飾が特徴で、磁器は同じく「瀬戸染付焼」に代表される呉須と呼ばれる顔料を使った青色が美しい絵付が特徴だ。
九谷焼花瓶
「九谷焼」とは
石川県加賀地方で生産される陶磁器。多色の絵が描かれる上絵付けが持ち味である。豪快で濶達な線書きの上に、緑、黄、赤、紫、紺青の五彩で施される和絵具の重厚な輝きが美しい。
窯ごとに独自の画風があり、古九谷の「青手」や、宮本屋窯の「赤絵細描」などは特徴的。また、明治時代にかけて登場した金襴手 (きんらんで) という技法が一斉を風靡し「ジャパンクタニ」の名で世界的にも有名になった。
17世紀半ばの江戸時代前期に始まり、大らかさときらびやかさを合わせ持つ独特の力強い様式美を作り上げたが、17世紀末に突然作られなくなった (それまでの九谷焼を「古九谷」と呼ぶ) 。その後、1800年頃に再興(「再興九谷」)。このミステリアスな歴史に関心を寄せるファンや研究者も多い。